再会
様々な映画の舞台にもなっただけあって、その美しさといったら……
もう言葉で形容するのも難しい。
ただただ驚くばかりだ。
列車が滑り込んだ終点のサンタ・ルチア駅は、他と変わらず普通の駅に見えた。
しかし、外へ一歩出た途端にそんな考えはいとも簡単に覆されてしまった。
「なんやこれ?!街中が大洪水みたいやなぁ」
ジュンがそう言うのも無理はない。
駅を出た途端、目の前に広がったのは、大きな運河だ。
すぐにでも乗り上げてきそうなほど、水が並々と溢れている。
運河の向こうを見やると、その水は建物ぎりぎりまで侵食していて、まるで建物が海に浮かんでいるようだ。
そして、世界的に有名な観光都市であるヴェネツィアの駅前は、各国からやってきた旅行者、白人のバックパッカー、日本人の団体旅行客……と、とにかく人、ひと、ヒトで溢れていたんだ。