再会
「ひとまず、ユースまで行こうか」
相変わらず冷静なアキの意見に従い、みんなで移動を開始した。
人の波をかき分け、アキについて行った先にあったのは船着場だ。
「ここでの移動手段は、コレ」
そう言ってアキが指差した先には、たくさんの船が往来している。
「これが、ヴァポレットやな」
「そうみたいね。ゴンドラって今は観光客用らしいじゃない?これは庶民向けってわけね」
ヴァポレット、それは運河が張り巡らされたこの街では、重要な移動手段だった。
乗り合いの水上バスで、運河の路線を何通りも走っている。
「ユースまでは82番の快速だって。ちょっと離れたジュデッカ島まで直接行けるみたいだ。まだ来てないみたいみたいだな」
アキがそう言うと、リリィとジュンは「喉が渇いた」って言って、通りのショップに駆け込んで行ったんだ。