再会


「はぁ、間に合った!もう、ジュンがチンタラしてるのが悪いんでしょ!汗かいたじゃない!」

「はぁー?汗かいたのは俺のせいかい?こんだけ暑かったら汗くらい掻くっちゅうねん」


そんな二人のやり取りを聞きながら、ヴァポレットに乗り込む。

カッコイイ名前とは対照的に、とても簡素な作りだ。

水上バスなんて言ってるけど、座席なんかなくて、みんな立ち乗り。

特に親切なアナウンスがある訳でもない。

みな雪崩込むように乗り込み、自分で降船する駅を見定めて降りなければならないという、かなり高度な技を要する乗り物だった。



人で溢れる船内をぬい、水際の位置を陣取った。

ヴァポレットはぐんぐん速度を上げ、次の船着場を目指している。

私たちの進行方向左手には、ヴェネチィアの街並みが流れていた。




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