再会
ジュデッカ島のユースは、それは簡素なものだった。
今まで過ごした北部の国々とは大違いだ。
病院のベッドよりまだ酷いのではと思わせるパイプベッド
ほとんど水しか出ない共同シャワー
脱衣所には、カーテンすらない。
トイレの便座も……
女性部屋に入ったリリィは、「街とここのギャップには言葉もでないわね」って、怒りを通り越して、呆れ返っていた。
確かにクーラーもないこの部屋での夜を思うと、眠れるだろうかと心配になってしまう。
全開の窓からは、ねっとりと湿気を帯びた空気が入ってくるけど、部屋を涼しくしてくれるものではなかった。
「まぁ、いいわ。やっと来たヴェネチィアだもの、思いっきり楽しんでやろうじゃないの!」
荷物をロッカーにしまい込んだリリィは、早速軽装になって、私の準備が出来るのを待っている。
「うん。リリィが来たがってたのがよくわかるよ。街自体はとても素敵な所だものね」
私の言葉にリリィは微笑み、二人で部屋を後にした。
ロビーで待ちくたびれていたジュンとアキと合流し、早速炎天下のヴェネチィアの町へと繰り出したんだ。