再会
絢爛豪華なサンマルコ広場を後にした私たちは、目的もなくふらりと街を歩いてみることにしたんだ。
密集した建物の間を縫うように細い路地があり、それがいくつもの橋で繋がれた、迷路のような街―――
「この街は、せいぜい30分も歩けば、どこへでも行けるって、さっきユースの兄ちゃんが言うとったわ」
「そうだな。それに迷路みたいに見える街だけど、実は違うみたいだし」
そういうアキの目線の先には、突き当たりの建物の壁に貼られた標識があったんだ。
その標識には、どうやら観光ポイントとその方向が、矢印で示されているようだ。
でも……
道の分岐点に差し掛かると、すかさずリリィが「こっち」と、進んでいく。
いつも通りの潔さで
リリィのそれは、別に標識を読んでいるわけでも、何か確信があるわけではなく、ただの勘
でも、その勘に頼って行く先で、私たちは思いがけず素敵な景色に出会ったんだ。