再会
そんなことを思っていると、私たちはいつの間にか、狭い道から抜け出していたんだ。
徐々に商店が立ち並ぶアーケードに入り、気がつけば目の前には、大きな橋が架かっていた。
「ここは……?」
辿り着いたのは、リアルト橋だった。
「これが有名な“白い巨象”やな」
「すっごい!地図なしでも、意外といけるもんね」
リリィは相変わらず自信満々でそう言ってる。
でも、案外そうなのかもしれない、って思ったんだ。
自分の思うがままに進めば、きっと道は開けるんじゃないか?って……
地図を見れば、サンマルコ広場からこの橋までは、最短で徒歩十分もかからない距離
私たちは随分遠回りをしてしまったようだ。
でも、地図通りじゃなかったからからこそ出会えた景色が、そこにはあったのだ。
振り返ると、橋を見つめていたアキと目が合った。
きっと彼も同じことを思っていたのだろう。
私はアキに向かって、笑顔で小さく一つ頷いた。