再会


少ない明かりと月の光

寄せては返す波の音が、静かに響いている。

相変わらずの蒸し暑さだけど、昼間のそれに比べれば、幾分ましになった気がした。



ふと目をやると、ジュンは胡坐をかいた上にギターを抱えている。

そして、優しい音色を奏で始めた。


「ジュン、何か歌ってよ」


ジュンの歌を聞くのは久々だ。

私たちと一緒の時は、歌ったりしないんだ。

アキがこっそり教えてくれた話だと、夜時間があると、たまに一人で街へ出掛けて、歌ってるんだって。

アキは、ベッドで本を読んでたりするらしいんだけどね。


「なんかリクエストある?」


ジュンはそう言いながらも、絶え間なく優しい音色を紡ぎだしていた。

チラっとリリィをみたけど、彼女の口が真一文字になってて、私は彼女にたずねるのを躊躇ったんだ。

リリィの今の気持ちが、十分過ぎるほど伝わってきたから……



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