再会


「ここが二人の出会いの場所ね」


リリィの指し示す先にあるのは、フォロ・ロマーノの遺跡の一つ“セウェルスの凱旋門”だ。

1800年も前に造られたのに、今なお威風堂々とした佇まいと、白大理石の豪華な彫刻はそのままだ。



私も『ローマの休日』は、好きで何度も見た。

ある某国のアン王女とアメリカ人新聞記者ブラッドレイが、一日だけの恋の冒険を繰り広げる大人のメルヘンストーリー

そして、その二人の出会いの舞台だったのが、この凱旋門の前の通りなのだ。


「逃げ出す前に鎮静剤を打たれてたアンは、ここで眠っちゃうのよね」

「こんな所で寝てたら、お持ち帰り確実やんな」

「もう、あんたは言い方が下品なのよ」


リリィは、気分はすっかりアン王女のようだ。

そんなリリィに、ジュンはわざと不貞腐れるように「へいへい、女王様」なんて言いながらついて行ってる。



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