再会


それからボッカ・ディ・レオーネ通りで市場を散策した。

アン王女がサンダルを買った市場のような光景が目の前に広がっていた。

活気溢れる朝市で、ジュンは誰かれ構わずつかまえては、話しかけていた。

陽気なイタリアおばさんたちは、すぐジュンが気に入ってしまうようだ。

相変わらずイタリア語と日本語の意味不明な会話が、きちんと成り立っているように見えるから、本当にすごい。


「ジュン、あんた、前世はイタリア人よ、きっと」


呆れてそう言うリリィの言葉にも、アキと二人、思わず納得してしまい、顔を見合わせて笑ったんだ。



かと思えば、今度はあちらこちらから、イタリア人男性のウィンク攻撃が飛んでくる。

もちろん私じゃなくて、リリィにだけどね。


「もう、あたしって罪な女ね。こんなに声掛けられたら全然前に進めないじゃない」

「何、言うてんねん!みんな、レイに声掛けてんねんで」


リリィはギロリとジュンを睨み返したけど、ジュンはと言えば、お隣のイタリアおばさんに助けを求めていて、もう何がなんだか。


ここの朝市の活気とお祭り騒ぎは、まるでローマの縮図みたいだ。

色とりどりに鮮やかで、賑やかで、底抜けに明るい。




そして、私たちは、そんなローマで一二を争う観光スポットを目指していたんだ。




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