再会


「すっごい人~!」


私の第一声がこれだった。

ローマでも、最も有名な観光地かもしれないここは、世界中からやってきた観光客で溢れていた。

そう、たどり着いたのは“トレヴィの泉”だ。



ポーリ宮殿の西側に、建物の壁と一体になって作られた大きな泉は、それ自体が芸術作品だ。

バロック様式の建物や彫刻の美しさと力強さ

真っ青に突き抜ける空をバックに、白亜の殿堂が眩しかった。



ジュンが泉に近づき、中を覗き込んでいる。


「ようけ入ってるなぁ」

「何が?」


ジュンに促されて、中を覗き込むと、そこには、様々な国のコインが投げ込まれていた。


「ここでこうしてな……」


ジュンが自慢げに言おうとするところを、すかさずリリィが割り込んだ。


「そんなの、あたしだって知ってるわよ!ここでこうして後ろ向きにコインを投げるのよ」


そう言って、リリィは持っていたコインを宙へと放った。

後ろ向きに投げられたコインは、綺麗な放物線を描き、チャポンという控え目な音とともに、泉の中へと消えていった。


「ねぇ、コインを投げると、どうなるの?」




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