再会
最後にたどり着いたのは、夜の船上パーティに出かけた王女が、追っての男たち相手に大活躍したテヴェレ川にかかるサンタジェロ橋のたもとだ。
ベルニーニの彫像で飾られた橋の上からは、サンタジェロ城の美しい眺めが広がっている。
「あたしの“ヨーロッパの休日”が終わっちゃうわ」
「ヨーロッパの休日?」
ジュンとアキは少し離れた所で、二人で何か見つけたらしく話に盛り上がっていた。
リリィと私は、ベンチに腰掛け、そんな二人を眺めていた。
「だってね、あたしたち、まるで“ローマの休日”みたいでしょ?」
さっき、アキも言ってた、そんなこと……
「どういう意味?」
「アンとブラッドレイ、絶対に出会うはずのない二人が出会って恋に落ちた。あたしたちも一緒よ。絶対、出会うことなんてなかった四人がこうして出会っちゃったのよね。なんだか不思議」
本当だ……
きっと日本にいたら出会うことのなかった四人
私たちは、こうしてここヨーロッパで出会い、そして互いにかけがえのない存在になった。
「本当にあるんだなぁと思ってね」
「ん?」
「小説やドラマの中のストーリーだと思ってたのにね。でも、言うじゃない?“事実は小説より奇なり”って。本当にそうだなぁって思っただけよ」
なんだか、リリィのしんみりした口調に切なさが募った。
少し白み始めた西の空を見ていると、別れの時が迫っているのを実感せざるを得なかったんだ。