再会


空港まで送ると言ったけど、リリィは頑として断った。

私たちもそろそろ次のミラノへ出発しなければならなかったので、駅で別れることになったんだ。


「ねぇ、みんなアレ書いてくれた?」


リリィは私たち三人を見回してる。

まるで宿題をチェックする先生みたいだ。


「書いたったで。ホレ!」

「あぁ」

「はい、これ」


私たちが各々リリィに差し出したのは一通の手紙だ。

リリィに宛てたものではない。



あて名は、十年後の自分へ―――



回収したリリィはそれぞれに封をし、「はい」と言って一通ずつ手渡した。

私の手元にはジュンの書いた、十年後のジュンへの手紙

そして、ジュンはリリィの、リリィはアキの、アキは私の書いた手紙がそれぞれ渡された。


「行き渡ったわね」


リリィはそれぞれの手紙を確認し、それから私たち三人を見回した。



< 230 / 319 >

この作品をシェア

pagetop