再会
空港まで送ると言ったけど、リリィは頑として断った。
私たちもそろそろ次のミラノへ出発しなければならなかったので、駅で別れることになったんだ。
「ねぇ、みんなアレ書いてくれた?」
リリィは私たち三人を見回してる。
まるで宿題をチェックする先生みたいだ。
「書いたったで。ホレ!」
「あぁ」
「はい、これ」
私たちが各々リリィに差し出したのは一通の手紙だ。
リリィに宛てたものではない。
あて名は、十年後の自分へ―――
回収したリリィはそれぞれに封をし、「はい」と言って一通ずつ手渡した。
私の手元にはジュンの書いた、十年後のジュンへの手紙
そして、ジュンはリリィの、リリィはアキの、アキは私の書いた手紙がそれぞれ渡された。
「行き渡ったわね」
リリィはそれぞれの手紙を確認し、それから私たち三人を見回した。