再会


地中海沿岸を旅していると、とにかく気候がいい。

いつも晴れていて、先に回ったヨーロッパ北側の曇り空を忘れてしまいそうだ。

人々はどこもおおらかで気さく

それもこの気候なら納得できる。


「こんな気候で育ったら、きっと、みんなジュンみたいに育つ気がするね」

「なんや、レイも言うようになってきたやんか」


突き抜ける空に届くように大きく手を伸ばし、息を吸い込んだ。


「ここの人たちって、みんな明るくて気さくでしょ?それに、コート・ダ・ジュールに入ってから、みんなヴァカンスを楽しんでる。いいなぁと思ってね」

「確かに、俺もここにいたらきっと仕事なんかしたくなくなるかも」


そう言ってアキも微笑んだ。


「ほら~俺だけちゃうで、レイ」

「そうだね。もし、お父さんもこんな所に住んでたら、あんな風にはならなかったのかなぁ」



何故だかわからない。

ふと思いだしたのは、お父さんの顔だったんだ。

家にいたって、顔を合わせるわけでもないのに……

コート・ダ・ジュールやプロバンスの陽気に豪快に笑うおじさんの顔と、お父さんのしかめっ面が交互に浮かんでは消えた。



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