再会
「アキ、最後にちょっとだけレイ、借りてくで」
「え?ちょ、ちょっとジュン?アキ?」
そう言われたアキは、軽く手を挙げ、駅の出口へと歩き始めたんだ。
ジュンはそのまま私の手をひき、改札口の前まで移動する。
「これでほんまに最後やから」
そう言うが早いか、私はジュンにすっぽり抱きすくめられていた。
リリィにそうされるのとは、また違う感覚
アキとも違う……
「俺な、ほんまはレイに一目惚れやってんで」
「え?」
顔はジュンの胸の中にすっぽり納まっていて、その表情を伺うことは出来ない。
「って、言っても説得力ないか」
「そ、そうだよ!ジュンが好きなのはリリィでしょ?」
「ははは、レイがヤキモチ妬いてくれてんの?俺、男冥利に尽きるなぁ~」
「んっもう、そんなんじゃないよ!」
ようやく力の抜けた腕がするりと外れ、ジュンの体が離れた。
見上げたジュンの表情は、初めて会った時と変わらない人懐っこい笑顔だ。