再会
そう言うとジュンは手を離し、私の頭にのせようとしたんだ。
だけど、その掌はすっと引っ込められた。
「あかんな。これはアキだけの特権やった」
そう言ってクスッと笑ったんだ。
一瞬なんのことか分からなかったけど、次の瞬間、顔が真っ赤になるのがわかって、俯いてしまった。
「レイ、顔上げてーな。俺、そろそろ行くわ。元気でな。お互い頑張ろな!」
ジュンは大きく手を振りながら改札をくぐって行く。
「ジュン!ありがとう!またねー!」
私も必死で手を振った。
ジュンは最後まで、あの温かい、みんなを幸せにする笑顔を残して去っていったんだ。
その後ろ姿が見えなくなっても、私はしばらくそこから立ち去ることが出来なかった。