再会


「レイがいつも頑張ってる姿が眩しかった。レイが頑張ってると思うと、自分も頑張れた。それで、ある時気付いたんだ。僕はレイを励ましてるつもりだったけど、違うんだって。励まされてるのは僕の方なんだって。そして、それはきっとアキ兄も一緒だったと思うんだ」

「そんな、私……」


向かいに座っていたはずのリリィが私の隣に座り、優しく肩を抱きしめてくれる。


「あんたは自分じゃ気付いてないかもしれないけど、あたしたち、あんたに随分励まされたのよ」


お母さんになったリリィの言葉は、とても優しく私の心へと沁みていく。


「そうやで。あのレイが大学退学した、って聞いた時は俺もビックリしたわ。でもな、次から次に自分の殻を破って、いつの間にか普通の奴らには出来へんことに、必死で立ち向かってるレイを見て、俺も絶対負けられへんわ、って何度思ったことか。ほんまに、ありがとうな」


父親になったジュンも、あの頃よりずっと逞しく見える。

そして、その言葉には包み込むような優しさで溢れていた。



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