再会
―――っ??
訳のわからない状況に、一瞬頭が混乱する。
背中に、日陰になっていた建物の壁の、ひんやりした感触を感じた。
それで、自分が、誰かに抱きしめられていることに、気づいたんだ。
呼吸をするのも忘れて、いったいこの状況をどうしたらいいかと考えてみるけど、打開策なんて何一つ浮かばない。
もう、頭の中は真っ白だ。
ただ、自分の心臓の音なのか、それとも顔を押し付けられている相手の音なのか、どちらかはわからないけど、ドキドキという確かな鼓動だけが、やけにリアルに耳に響いていた。
そして、鼻腔をくすぐる、柑橘系のハーブの香り。
永遠かとも思えた沈黙の後、ようやく腕の力を緩められて、私は恐る恐る顔を上げた。
するとそこには、とても強い力のこもったライトブラウンの眼差しがあって、私は言葉を失った。
なんて綺麗な瞳だろう―――