再会
私は、甘いシナモンの香りに誘われるがままに、一軒の露店の前で立ち止まった。
たくさん並べられたマグカップ。
日本のそれより少し大きめで、側面にはここのクリスマスの風景と“2008”の文字が刻まれている。
「一杯ください!」
顔には深く皺が刻まれた柔らかい笑顔のお婆さんは、大きなマグカップにたっぷりのグリューワインを注いでくれた。
「これは私の秘伝のレシピだから、ここらで一番おいしいよ!」と手渡してくれた。
これは、ドイツのクリスマスには、なくてなならないものだ。
赤ワインにシナモンやクローブなどの香辛料、それにオレンジピールやレモンピールを入れ、さらに砂糖やはちみつで甘みをつけ温めたホットワイン。
グリューワインのお店は、このマーケットの中に何件もある。
お店によってマグカップのデザインや、味そのものがオリジナル。
だから、好みのお店を探すのも楽しそうだ。