夢見るおとぎ話(短編集)
死に損ない髪長姫
いつもの場所で目を覚ます。
あぁ夢が終わってしまった…
そう実感すると同時に身体に走る痛み。
鏡などもう何ヶ月も見ていない。
やせ細った腕…ごぼうのような足…至るところに痣や切り傷がある。
死んだような目で見上げるのは、殺風景なコンクリートの天井。
ガチャリと扉の開く音がする。
もうそちらを見る力もない。
「おい。飯食え。」
低い声でパンを投げつけられた。
あぁ、何十時間ぶりのご飯だろうか。
私は余力で必死にそのパンにかぶりついた。