【てぃんかーべる】
「みっ、水着ですか?」

「そう。
 仕事とかでも
 水着を着るのも多いからね
 そこに簡易更衣室が
 設けてあるから」

「でも…
 水着とか
 持ってきてないんですけど」

「大丈夫
 更衣室に水着用意してあるから
 ねっ、はい、いってらっしゃい」

「あ、は、はい」

わたしは
言われるがまま
更衣室に向かった

下着姿になった
わたしは水着を手にした

「えー、白の競泳水着?
 …これ薄くない?
 透けない?大丈夫かな」

裸になり水着を着て
全身鏡を見ると

「えー、ちょっと透けてんじゃん
 恥ずかしいよぉ
 どうしよう…」

どうしよう……

初対面の男の人に
乳首の透けた水着とかありえないんだけど……

えー
ほんとどうしよう……

………
………

でも
有名になるためには
嫌な仕事も避けて通れないんだ
と考えたわたしは
気合いを入れ覚悟を決めた

すごすごと撮影場所に戻る
すると
肥った男と
髭面の男の姿は消え
茶髪一人だけとなっていた

少し気になったが
わたしはそれに触れなかった

「あー、いいねー
 似合ってる
 かわいいよ」

「あの、
 これすごく恥ずかしいんですけど……
 胸とか透けてるし」

「本気でモデルになりたいんだよね
 そんなことで恥ずかしがってたらさ
 モデルなんてなれないよ
 プロのモデルの
 ファッションショーの着替えなんて
 全裸で行なうんだし
 わかる?
 ん?じゃあ、中央に立ってくれるかな」

えーマジで……
と思いつつ
わたしは
撮影場所に足を進めた
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