【てぃんかーべる】
胡桃と共に店内に戻ると

「いらっしゃいませ
 お姫様っっ」

怒声に似た掛け声が
様々なホストの口から出た

「きつねきつねっ
 あんね今日ね
 16万稼いだよっ」

「ふぅーん
 お前16万稼いだ
 ぐらいで喜ぶような
 安っぽい女になるなよ」

「安っぽいとか
 ムカつくんだけど
 誉めてくれたっていいじゃん」

「将来No.1になる俺の嫁だぜ?
 日給50万稼いだら
 一人前だな」

「………あっそ」

「そういえば
 さっきあの女から
 15万のピンドン入ってさぁ……
 かなり飲んだんだよ
 だから胡桃の前では
 飲まなくていいかな?」

「え?15まん…?
 わかった
 ぢゃあきつねは飲まないでいいよ
 くるみがいっぱい飲んであげるから」

「やっぱお前最高だな」

俺は胡桃を抱き
ディープキスをした

「ねぇ、きつね
 あたしも
 ピンクいれちゃおっかな?」

「気ぃ使うなよ
 俺はお前に
 逢えるだけで幸せなんだぜ」

「いいよぉ
 三本いってみよっかな
 あっ、あたしお腹減った」

「胡桃……
 わかった…
 おっけー
 それなら森のくまさんから
 もらったハンバーガーも一緒に喰う?」

「デザートは
 かぼちゃの馬車プリンでお願いしまぁす」

「王道フルコースだな」

俺は口端を上げて笑い
ボーイを呼び注文を耳打ちした

ボーイが
ピンクのドンペリを三本
テーブルに置くと
カウベルを鳴らした

鐘の音に誘われるように
周りから
ぞくぞくとホストが集まってくる

最後に
店内No.1
マイクパフォーマー
『渚 しゃち』
がやってきた

5番テーブルの姫からっっ
なんとっっ
ピンドン3本いただきましたっっ

店内に
テクニカルパレードのトランスが
大音量で流れる
ここから
シャンパンコールが始まる
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