【てぃんかーべる】
宮城は
たまに臨時コーチとして
後輩に指導していること聞く

軽く昔の話に花を咲かせた

「これからどうすんだ」

宮城は
アメリカで俺に降り懸かった事件を
すべて耳にしているようだ

彼の言葉に
ふと渡米する前日の
部員やOBが集まり
俺の前途を祝してくれたのを
思い出す

先輩後輩から
沢山の励ましの言葉をもらった
ただ一人
一方的に俺をライバル視していた
赤髪の男からは
皮肉まじりの
台詞をもらったが……

当時俺は
高校バスケ界に
旋風を起こすほどの活躍だった

数々のバスケ雑誌に取り上げられ
将来を嘱望される
バスケ界のヒーロー

それが今や
家族を亡くし
何千万という借金を抱え
スポーツのできない身体
生きる気力さえ湧いてこない状況だ

宮城の
これからどうするんだの問いに
こっちが聞きたいくらいだと
胸の内で呟く

なにも言葉が浮かんでこなかった
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