【てぃんかーべる】
後部座席に乗り込むと
運転手の田中にいった

「美濃后へいってくれ」

「今日は
 食事会ですか」

「あぁ」

私は
無造作に煙草をとりだす

ゆっくり車が発進した

『南 恭子』は
私が男として
最後に抱いたロマンスだ

彼女には
幼い息子がいた

養護施設に
あずけていたらしい

出会ったのは
いまから
もう十年も前になる

当時彼女は
不動産を主に
食品関連の会社も経営している
とても若い女社長だった

親は貿易会社を営む
富豪で且つ参議院議員でもある

『南 勇次郎』

南 恭子は
生粋のエリートだった

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