【てぃんかーべる】
私は
自分を矢嶋 文雄と
名乗り
脱税と思われる資料を
鞄から取り出す

南 勇次郎は
会社内の恥部を
テーブルに広げても
眉根一つ動かさなかった

さすが
大物議員
堂々たる貫禄を感じる

私は
交渉にはいった

「この資料
 いくらで買ってもらえますか?」

彼は
私の質問に答えず
瞳を閉じた

場に
ひとしずくの
沈黙が落ちる

彼の
瞳がゆっくりと開かれる

さぁ
南 勇次郎
どう出てくる

私は
わくわくしていた
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