【てぃんかーべる】
元来
人見知りで
付き合いの悪い
わたしは
友人が少なかった

良くいえば
水たまりより狭くて
深海まで行き着く
人付き合い

一度仲良くなれば
骨までしゃぶるほど

悪くいえば
世間を知りたくない
臆病なミーアキャット

そんな珠玉とも呼べる
友達との連絡は
一人の女友達の
メールを境に
友人全員との関係を断っている

『間違ってたらごめんね
 つかさって
 AVでてない??』

メールを読んだ瞬間
頭が真っ白になり
同時に燃えるほど
耳が熱くなった

なんて返事すれば
いいかわからなかった

そのメールは
数ヶ月放置している

AV女優という
自分を誇ろうと思った
生半可な気持ちで
この仕事を選んだわけじゃない

有名になればなるほど
世間にわたしが
AV女優であることが
ばれるのは承知の上だったし
当然覚悟もしていた

でも……

いざ
友人にAVの話をされると

『やってるよ♪』

なんて軽い台詞を
吐けない自分がいた

どうしようもなく
恥辱感を抱く
わたしがいた

考えすぎかも知れない
わたしがAV嬢だろうが
客室乗務員だろうが
友達には『水森つかさ』の
評価はなにも
変わらないかも知れない

これは
わたし自身の問題
友達に合わせる顔が
どうしても見つからなかった

AV界で
人気を博す代わりに
自ら心に『孤独』を
刻印してしまった
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