【てぃんかーべる】
現在
わたしには
友人が一人もいない

だから
くるみと
友達になれたとき
正直飛び上がるほど嬉しかった

「よろしくね
 つかさ」

この言葉は
いまだに頭に残ってる

くるみが困ったり
苦しんでるときは
力になりたい

自己中かも
知れないけど
心を許し合える友人が
欲しくてたまらない

いてもたっても
いられなくなり
バックから
携帯を取り出すと
くるみの居場所を知るため
社長の野田に電話した

父が台所から
「ご飯もうすぐできあがるぞ」
って声を
片手をひらひら動かし
わかったと合図した

数回の呼び出し音の後
「はい、もしもし」
との声が聞こえた

一瞬
間違い電話をかけたのかと思い
液晶画面をみた
『野田 さん』
合ってる…よね

男の声が
聞き慣れた
低音の野田ボイスじゃなくて
まだ声変わりしたての
幼さの残る声だったから

わたしは
少し戸惑いながら

「野田さんの……
 携帯…ですよね」

と訊いた
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