【てぃんかーべる】
玄関に入ると
おいしそうな
食事の香りがする

今日の
メニューは焼きそばだった

「そこトイレ」

玄関のすぐ横の
ドアを指差して
あたしはいった

ダイニングキッチンに
足を踏み入れると
ねるが床に散乱してる
焼きそばをみて
一瞬目を大きくした

だけど
その焼きそばについて
なにも訊こうとはしなかった

あたしは
隣りの部屋にいき
コンビニ袋を
ベッドの上に置いた
パーカーを脱ぎ寝転ぶ
最後に
持っていたコンビニ袋を
逆さまにした

これがいつものパターン

それを見ていたねる

「ベッドの上で食べるの?」

彼女の唇が
半開きになってる

「うん
 ここがあたしの神聖域」

「そ、そうなんだ」

「好きなとこに坐りなよ」

「あ、うん
 その前に
 手洗って
 うがいしたいんだけど」

「洗面所は
 トイレの横んとこ」

「うん
 ありがと」

彼女は
ジャケットを脱いで
洗面所へ向かった

ベッドの上の食物に
目をやったあたしは
まずビッグエクレアを
口にいれた
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