【てぃんかーべる】
超ボリューミーな量を注文
バリューセット以外に
単品でチーズバーガー16個の
店内注文に
レジのお姉さん『えっ』って
目を丸くしてた

二階の窓際の席に坐る

チーズバーガーの個数に
つかさは、なんの反応も示さない
触れてはいけないものだと
感じてるみたい

「撮影順調?」

ポテトを鷲掴んで口に入れながら
あたしは訊いた

「んーまぁまぁ
 以前撮ったレイプのやつは
 ちょっとキツかったかも」

「監督だれ?」

「村山さん」

「あーー
 超リアリズムを追求してる監督でしょ」

ポテトをコーラで
胃に流し込む

つかさは
まだカフェオレしか飲んでいない

「男優さんも
 すごい恐くて
 なんか男ってみんな潜在的に
 女の子を犯したい
 欲求があるのかなって
 思ったり」

彼女は
またカフェオレに口をつけた

「あたしもレイプ系
 何本か撮ったことあるけど
 そんな深く考えなかったなぁ
 男ってさ、どいつもこいつも
 スケベじゃん?
 だからそんな思い込むこと
 ないんじゃない」

「そうだけど
 わたしこの仕事
 向いてないんじゃないかなって
 よく思うんだ
 男優さんとのエッチは
 すごく気持ち良いんだけど
 仕事でエッチしてる自分が
 ときどきすごく嫌になるっていうか
 自己嫌悪になるっていうか」

彼女はうつむいたまま
窓外に目をやった

つかさみたいな
感傷に陥ったことがない
仕事のこと考えすぎだし
こいつの血液型絶対Aだな
って考えるあたしがいた

「つかさって
 なにでこの業界入ってきたの?
 スカウト?」
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