【てぃんかーべる】
「読者モデルの
 オーディションを受けたんだけど
 なんかあれよあれよという間に
 AVに入ったの
 ……小さい頃からね
 なんでもいいから
 有名になりたいって思ってて……」

「AV界で有名になったわけよね
 今年の新人賞とったんだよねたしか」

「うん
 名誉かどうかはわからないけど……」

「ある程度有名になって
 目標を見失ったとか?」

「んーー
 どうなんだろ……
 そう……かもしれない
 なんか自分でもよくわからない
 ごめんね
 なんか暗い話して」

そういって
つかさはポテトをひとつ
口に入れた

店内の有線に
あたしの好きな歌が流れてきた

「いいよ
 いつもあたしの
 愚痴聞いてくれてるしさ
 あたしでよかったら
 なんでも聞くし
 あっ
 つかさの
 好きなタイプの男ってどんなの」

あたしは
チーズバーガーを4つ
平らげて話しを変えた

彼女は少し考えた末

「子供心を忘れてない人とか
 なにか趣味に夢中な人かな
 大人になっても
 プラモデルとか作ってる人とか
 車命の人とか
 べつになんでもいいんだけど
 わたしは側で
 その夢中になってる
 横顔を眺めてるのが好き」

「はいはいはい
 じゃあ超追いかけたいタイプでしょ?」

笑顔を浮かべ
つかさが「そうそう」と相づちった

「顔は?」

あたしが訊く

「んーー…とっ
 男っぽいのが好き
 格闘技系?っていうの?
 短髪で身体がごつごつしてて」

「モデルとかイケメン系は?」

「中性的な人は
 あまり目ぇいかないかも
 でもあまり髭の濃い人は好きじゃない
 ちょっと矛盾してるよねわたし
 くるみは?
 くるみはどんなタイプが好きなの」

彼女が
てりやきバーガーに
手を伸ばしながら訊いてきた
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