【てぃんかーべる】
「イケメン」

即座に
あたしは答えた

そしてさらに続ける

「背が高いのは絶対
 んで手に超血管浮き出てて
 さらさらな髪で
 お姫様抱っことか余裕でできる人」

つかさは
口をもぐもぐさせて
あたしの言葉に
何度もうなずく

「元彼が超理想だったんだ
 超優しくて
 すぐ抱きしめてくれて
 あたしの大好きなカルピスを
 いつも冷蔵庫に入れといてくれてた……
 あんないい男
 これからの人生絶対現れないし」

10個目の
チーズバーガーを手に持ち
ため息をはいた

「好きだったんだね」

しんみりと
つかさがいった

コーラを飲もうとしたとき
胃がねじれるように痛んだ
あたしは速攻トイレに駆け込もうとした

ドアノブを回した
押しても引いても
びくともしない
誰か入ってる
うそっ
マジでっ

やべっ
吐くっっ

あたしは
口元を押さえ周りをみた

残ったジュースや氷を捨てる
銀色の受け皿が目に映る

そこに今まで喰ってた
ジャンクフードをすべて戻した

すぐに周囲の視線が気になった
真横の席に黒目だけ向けた
予想通り
カップルが
あたしを見てドン引き

うっ…

また……

喉から
鼻から
胃液と共に
ハンバーガーを吐いた

びちゃびちゃと
汚ならしく耳障りな音

恥ずかしすぎる

……死にたい

すっ…と
背中に暖かいぬくもり

周りの目を介せず
つかさが黙って
さすってくれていた
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