【てぃんかーべる】
あたしは
服をえらぶ

「誰かのプレゼントとか?」

つかさが訊いてきた

「うん
 きつねに」

あたしは
服を広げてみる
彼のサイズはLL

「きつね?
 飼ってたっけ?」

のんびりとした
口調で彼女は訊いてきた

「彼氏の名前」

ぶっきらぼうにこたえる

彼女は
なにかを察したのか
それ以上なにも訊いてこなかった

どれくらいの
時間が経ったかわからない

「つかさ」

男服をまじまじとみつめ
手にしていた
彼女に声をかけた

「ん~?」

「お金貸してくれない」

「いいよぉ
 いくら?」

「18万」

瞬時に彼女は
あたしの顔をみて

「えっっ
 じゅうはちまん」

狐につままれたような表情をした

「欲しい服いっぱいあるんだ
 あたし今日2千円しか
 持ってないの
 だから力になって」

「あ、う、う…うん
 …いいよ
 じゃあお金おろしてくるから
 待ってて」

彼女は
二階にある
キャッシュコーナーへと降りていった

さらに服選びに没頭する

頭の中で
きつねのよろこぶ顔が浮かんだ

…んふふ

あたしは
誰に向けるでもなく
ほほ笑んだ
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