【てぃんかーべる】
「すごいマンションだね
 彼はなにをしてる人なの?」

つかさが
億ションを見上げていう

「ホスト」

「ホ…ホスト…」

彼女は驚きの表情で
あたしを二度見した

「つかさの言いたいことは
 わかってる……
 わかってるよ
 でも大好きなの
 きつねはあたしのすべてなの」

淡々とした口調でいった

とにかく
きつねに逢いたい
はやく逢いたい

エントランスで
インターホンを押す

「ごめん
 つかさがでてくれる
 あたしがカメラに映ると
 居留守つかわれるかも知れないから」

早口でいった

「えっ
 わたしくるみの彼と面識ないし
 なにを話せば良いのか……」

彼女も早口で応えた

あたしは
カメラに映らないように
つかさとインターホンの間に
しゃがみ込む

「はい」

きつねが
送話器にでた

ひさしぶりの
きつねの声に
あたしの性器が反応した
無性にオナニーがしたくなった

「あっ…あの
 えーと…」

うわずった声で
つかさがもたついた

「いおり…ねる」

疑問符をつける調子で
きつねがいった

「は…はい?」

つかさが
きょとんとした

「野田さんから
 言われてきましたっていって」

小声で彼女にことづく

「あの
 野田さんから頼まれてきました」

彼女は
あたしの言う通りいった

受話器の向こうは無言

あたしの右手は
パンツの中につっこんでいる
めちゃくちゃ濡れていた

ワレメに中指を沿わせ
何度も上下に動かした

「あの……」

つかさが
なにかいおうとしたとき
自動ドアの施錠の解かれる音がした
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