【てぃんかーべる】
「たす…け……て」
過呼吸で苦しんでいる
橋本 英理が
わずかに唇を動かしていった
「お、意識あったか」
私がいった
「たす……けて……くだ…さ……」
彼女は目に涙をため
必死に言葉をしぼり出している
腫れてふさがった右目からも
涙がこぼれていた
声を漏らし泣いている
陥没した鼻は赤黒くまみれ
彼女が呼吸をするたび
口許から血が垂れる
美しい形をしていた乳房は
紫に色を変え
左の乳房が腫れ上がり
左右の大きさが異なっている
おもわず唾を
吐きかけたくなるほど
彼女はすでに
家畜と化していた
『生きる価値のないゴミ』
そう胸の中で呟いたとき
私は
おもわず
笑みをこぼしていた