【てぃんかーべる】
「三村。
 首の骨を折るか
 絞めるかで
 とどめを刺せ
 あと二時間ほどで
 次の女が面接にやってくる」

私が口にした

「了解」

三村は
橋本 英理の
首に手をかけた

彼女は
わずかに抵抗するが
力は弱々しく
蚊の鳴くような声で
「やめ……て」
と首を振り続けた

「ゆっくり絞めようか?
 それとも一瞬で逝きたいかい?」

三村は赤子をあやすような
その声で橋本 英理に語りかける

三村は舐めるように
彼女の首根っこを
親指でさする

彼女はおびえているのか
痙攣を起こしているのか
どちらかわからないが
身体が異常なほど震えている

股下は小便を漏らしたようで
床が濡れていた

人生で考えもしなかった
突然訪れた死というリアルな立場に
橋本 英里は
私が想像するよりも遥か上をいく恐怖を体感しているのだろう

「一瞬で逝かせてやれ
 せめてもの情けをかけてな。
 私がおくりびとになってやるさ。ははは」

三村は私の顔をみて笑顔を作った

その時

「野田さん」

彼が押し殺したような
沈痛な声をあげる
声主は仁だ
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