【てぃんかーべる】
「野田さん
 目の前で人が死んでも
 なんとも思わないんですか?」

仁の視線は
前方の車に向けられている

「なにがいいたい」

「俺は……
 俺には耐えられない」

なにかを
こらえたような声だった

「橋本 英理には……
 彼女には人生があった
 未来もあった……
 夢もあったに違いない
 家族や友人……
 彼氏もいたでしょう」

彼の横顔が
悲しみ歪んでいるようにみえた

「橋本 英理の未来を…
 彼女の人生を俺たちは摘んだんです
 それも
 とても残酷で
 非情なやり方で……
 助かる可能性のあった彼女を
 三村さんは……
 ころした……
 野田さんは何も感じないんですか……」
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