【てぃんかーべる】
照明器具やパネルなどの
撮影器材は充実していた
だけど
室内には、わたしと
肥った面接官、髭面の男
そして
茶髪のカメラマンしかいなかった

照明さんとか
メイクさんは
モデルになってからなのかな?
面接のときは
素のわたしを撮るだけなんだ
と思ったりした

「まず
 今の私服姿を撮りますね
 中央に立ってください
 うん。そうそう
 はいっ、止まって」

茶髪のカメラマンは
わたしの身体や
顔を撮り始めた

「うん…いいね
 足…細くてきれいだ」

「髪つやつやだね
 天使の輪ができてる」

「うん。そう
 そのポーズのまま
 ちょっと腕を後ろで
 交差してくれる」

「うん。後ろ向いて…そう
 そのまま振りかえってみようか」

「今度はちょっと澄した顔で…
 そう。かわいい」

茶髪は
様々なホメ言葉を投げかけ
わたしに
色んなポーズを要求してきた

茶髪の後ろで
しきりにいいねぇ
可愛いと
肥った男と髭面が
ぼそぼそいってるのが聞こえてくる

「じゃあ次は
 よりよく身体のラインを撮りたいので
 水着を着て撮影しましょう」

茶髪がいった
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