3年前の君へ 〜下駄箱536の1つ下の秘密〜
カレのことも、手紙のこともすっかり忘れていたが、昨日、文房具屋で見た便箋の売り文句を見て、昔の事を思い出した。
テーブルの上には、最後の手紙がおいてある。
昨日帰ってきてから、探しだしたものだ。
大学に入り、一人暮らしを始めてからは、新しい環境への不安や一人暮らしの寂しさなどに押しつぶされそうになっていた。
けれどこの手紙を見ると、元気が出た。
いつのまにかそれは、不安や辛さとか、自分の弱さに打ち勝つためのお守り代わりになった。
私の下に残った最後の、手紙。
けれど、一人暮らしにも、新しく始めたバイトにも、大学にも少しずつ慣れてきたころ、私はこの手紙を机の奥にしまった。