3年前の君へ 〜下駄箱536の1つ下の秘密〜
「はぁー。はぁー。はぁー。間に合った。」
運動を全くしない私にとって、全力疾走で走ったところで特に意味はないかもしれないが、とりあえずチャイムが鳴る1分くらい前に教室につくことができた。
遠くのほうでは、弥紗ちゃんと彩那ちゃんが私をみて笑っているような気がしたが、気づかないふりをして自分の席に座る。
窓側の一番後ろ、校庭の紅葉がよく見えるこの場所が、私の席。
キーンコーンカーンコーン—————————
「よしみんな座れー」
担任が教室に入ってきて、朝のHRが始まる。
私は先生の話を聞かず、右手に握りしめていた紙を開いた。
『3年前の君へ』
それは、A5サイズのメモ帳にかかれた小さな、手紙だった。