3年前の君へ 〜下駄箱536の1つ下の秘密〜
彼女を見つけて1ヶ月くらいが経った頃。
昼休みでも俺は相変わらず、彼女を見つければ見えなくなるまで目で追っていたし、うれしくなった。
「あれ?涼くん、なんでニヤてけるの?」
目の前にいる女の子が、俺を見ながらそう言った。
俺は聞こえてはいたが、目の前の子の声よりも、遠くにいる彼女に意識がいっていたため、返事をしなかった。
そんな俺を不審に思ったのか、彼女が俺の視線の先に目を向けた。
「・・・最近涼くん、あの子よく見てるよね。
1組の子だよね。隣のクラスだから、たまに見るけど...
地味な子じゃん。友達もいないし。」
違う。地味なんじゃない。
奏音ちゃんは、違う学校に幼馴染の親友がいるんだ。
だからいつも一人でも、寂しくなかった。
そう、この前の夢で奏音ちゃんがしゃべっていた。