エリート専務の献身愛
 夜ご飯はお寿司屋さんに入った。
 実は、回転していないお寿司屋さんに入るのは初めてで、かなり緊張した。

 どうしよう。そわそわしちゃう。本当は、浅見さんの方が未知な場所のはずなのに。
 隣に座る浅見さんは、やっぱり堂々としている。
 私がきょろきょろしてたら、恥ずかしい思いさせるよね。

 そう思っていても、すぐには落ち着くことができない。そんなときだった。

「瑠依?」
「……すーちゃん?」

 もう食事を終えたお客さんに名前を呼ばれ、目を大きくする。

「やっぱり瑠依だ! うわぁ。小学校卒業した以来? あんま変わんないからわかったよ」
「どっ、どうしてここに?」

 みると、小学生のときに仲の良かった仲野進(なかのすすむ)こと、すーちゃんがいた。
 すーちゃんは、小学生の頃と変わらないあどけない笑顔を見せる。

「あ、中学二年のときに、親の都合で札幌に引っ越してきたんだよね」
「そうなんだ。すごい偶然だね」
「だな。あー、とそっちは旅行?」

 そして、私の隣にいる浅見さんをチラッと見て、ちょっと気を遣った雰囲気でそう言われた。

 自分のことを話すのって照れくさい。それも、小さい頃からの男友達だとなおさら。
 だから、私は話をすーちゃんのほうに切り替えた。
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