エリート専務の献身愛
 ひとつのベッドで寄り添うように朝を迎えた。
 天気がいいことをカーテンの隙間から挿し込む太陽で知り、眠い目を擦る。

 心地いいのは、ふかふかのベッドだけが理由じゃない。
 総の体温と匂いに今も包まれているからだ。

 彼の胸に顔を埋める。すると、前髪を掻き上げるように撫でられ、額にキスが落ちてきた。

「おはよう」
「おはようございます」

 上目で総を見る。昨夜のことを思い出して、顔が赤くなってしまった。

「なに考えているの?」
「やっ……な、なんでもなぃ」

 総は、もぞもぞと下がって隠れようとする私の顎を掬い上げ、睫毛を伏せる。
 唇が軽く触れ合うと、目のやり場に困って下を向いた。

「こういうふうに、毎朝迎える日が来るのを楽しみにしているんだけど」
「実は……。来月、アパートの更新なんです。だから」

 『だから、マンションに行ってもいいですか?』がなかなか口から出て来ない。

 うーっと唸るように固く瞳を閉じる。
 次の瞬間、背中に手を回され、ぎゅうっときつく抱きしめられた。

 その後、なぜか、わしゃわしゃと髪を乱される。

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