エリート専務の献身愛
自分で自分を落ち込ませてしまう性格はどうにかならないのかな。
徐々に視線を下げる。表情は辛うじて笑えているとは思うけれど、いつ崩れるかわからないから顔を上げられない。
すると、浅見さんが言う。
「瑠依がすぐハッキリできないのは、なにかを懸命に考えているからじゃないの? 悩み過ぎるのは心配だけれど、物事に対して真剣に向き合っている証拠だよ」
私は無意識に浅見さんを見上げていた。
「瑠依はちょっと優しすぎるだけだよ」
本当、不思議な人だ。だけど、今日、思い切って家を出てきてよかった。
「ありがとうございます」
頭を下げ、唇を引き結ぶ。
「さて。次はどこに行こうか……って言いたいところなんだけれど、実は、ちょっとこの後用事が入ってしまって」
「あ、お電話ありましたもんね。足止めさせてすみません」
「いや、全然平気。それより、本当は送って行けたらいいんだけど……ごめん。土地感覚のない僕が送るっていうのも、逆に心配掛けるだろ?」
自虐的に笑って話すところまでも、爽やかに見える。
世の中のカッコイイ人たちみんな、こういうものなのかな。
「駅までは一緒に行けるから」
「いえ。もうここで。ちょうどタクシーも何台か止まってますよ。どうぞ、行ってください」
目前の通りに停まっているタクシーを示し、一歩下がる。
「私、しばらくは仕事に専念します。見て見ぬふりしてました、彼とのこと。今日は、本当にありがとうございました」
徐々に視線を下げる。表情は辛うじて笑えているとは思うけれど、いつ崩れるかわからないから顔を上げられない。
すると、浅見さんが言う。
「瑠依がすぐハッキリできないのは、なにかを懸命に考えているからじゃないの? 悩み過ぎるのは心配だけれど、物事に対して真剣に向き合っている証拠だよ」
私は無意識に浅見さんを見上げていた。
「瑠依はちょっと優しすぎるだけだよ」
本当、不思議な人だ。だけど、今日、思い切って家を出てきてよかった。
「ありがとうございます」
頭を下げ、唇を引き結ぶ。
「さて。次はどこに行こうか……って言いたいところなんだけれど、実は、ちょっとこの後用事が入ってしまって」
「あ、お電話ありましたもんね。足止めさせてすみません」
「いや、全然平気。それより、本当は送って行けたらいいんだけど……ごめん。土地感覚のない僕が送るっていうのも、逆に心配掛けるだろ?」
自虐的に笑って話すところまでも、爽やかに見える。
世の中のカッコイイ人たちみんな、こういうものなのかな。
「駅までは一緒に行けるから」
「いえ。もうここで。ちょうどタクシーも何台か止まってますよ。どうぞ、行ってください」
目前の通りに停まっているタクシーを示し、一歩下がる。
「私、しばらくは仕事に専念します。見て見ぬふりしてました、彼とのこと。今日は、本当にありがとうございました」