人事部の女神さまの憂いは続く
波木って、SMHの社長だよね・・・。
あの時そう言えば、そんなこと言っていた気もするけど、なんやかんやと違うことに気を取られていたし、本気にもしてなかったから、すっかり忘れてた。
「波木社長、わざわざお電話いただいて、ありがとうございます」
一応、認識してたよ、という意味で言葉を返すと、くっくっ笑い声が聞こえる。
「その反応。忘れてたでしょ。ひどいなー。俺のお誘い待ってる女の子いっぱいいるのに」
チャラい発言に顔が引きつってしまう。これが電話で良かったと思いつつも
「お忙しいのに、お電話いただけて光栄です」
大人な対応を心掛ける。まともに相手したら負けだ、と思っていると
「今日さ、会おうよ。20時に迎えに行くよ。オフィスのエントランスで待っててよ」
いきなりのお誘いだ。しかも、断られるとは微塵も思っていない。