人事部の女神さまの憂いは続く
「ごめん。こんなとこで。ここなら観光客ばっかりで予備校の子たちもいないだろうって」
先生は会うなり地元民はなかなか行かないスポットでの待ち合わせの意味を教えてくれた。それを聞いただけで、私は特別なんじゃないかっていう期待で胸が高鳴っていた。
そして、その期待以上の言葉を先生は紡いでくれた。
「実は最初に本屋さんで声かけたのも、すごいタイプの子だなと思って。予備校で会えた時はびっくりしたけど嬉しい気持ちの方が大きかったんだ。毎週顔見れるのが嬉しくて、勉強頑張ってるんだって思うと、関係ないけど僕も仕事にやりがい感じれてさ」
そこまで言って先生は、ぎゅっと私の両手を包み込んで言葉を続けた。
「講師の僕がこんなこと言ったらいけないってのはわかってるんだけど、好きなんだ。また、こうやって会えないかな?」
先生の言葉を聞きながらドキドキしていた胸が、キューと締め付けられて
「好きです」
というのが精いっぱいだった。