人事部の女神さまの憂いは続く
何を言われたのか理解ができなくって呆然としていると、手をとってソファーに座らされた。そして、もう一度「ごめん」と言って抱きしめられた。
何度も「ごめん」と繰り返す先生の表情は抱きしめられているから見えなくて、先生が何を思って「別れよう」なんて言ってるのかわからなくて、涙があふれていた。
「なんで?」
ようやく、それだけ言葉にすると
「ごめん。今年からまた、こっち専任になっちゃったんだ」
耳の近くでそう話す先生の言葉を理解するのに時間がかかってしまった。
「え、でも。それなら」
そこまで言葉にしたところで
「僕がダメなんだ。僕の見えないところで、ゆりちゃんが新しい生活を始めて大人になっていくのが耐えられない。大学入ってこれからっていう、ゆりちゃんの可能性を僕が縛るなんて、できないよ」
「え、じゃあ・・・」
そこまで聞いて愕然としてしまった。