人事部の女神さまの憂いは続く

すると、なぁ、というくぐもった声が頭の上から聞こえてくる。見上げるてみたけど抱きこまれているので、顔が見えない。

「この前のでさ、お前からの信頼なくなったってわかってはいたけど、思ってたよりキツイな」

そう言ってギュウと腕の力を入れられる。

確かに、この前自分の目で見るまでは藤木さんの女関係でこんな気持ちがヤキモキすることはなかったなって思う。でも、きっとあれはきっかけであって、これからずっと藤木さんと一緒にいるのなら避けては通れないことだったんだろうなとも思う。

そんなことをグルグルと考えていると

「なぁ、どうしたらいい?俺さ、お前も知ってるだろけど、まともに女と付き合ったのなんて学生の時くらいしかないんだよ。基本、その場限りがほとんどだったし、あっても飯食いにいくくらいだったし」

弱弱しく藤木さんが話始めた。

「だからさ、デートなんてほとんどしたことないんだよ。って言っても信じられないか」

最後は乾いた笑いとともに呟く藤木さんに胸が締め付けられる。首を横にフルフルと振ると

「なぁ。お前が嫌だと思うこと教えて」

優しく髪を撫でながら言ってくる。

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