人事部の女神さまの憂いは続く
「藤木さんと他の女の人のことで、ヤキモキする自分がイヤだ。
今さらどうしようもない過去のことで嫉妬する自分がイヤだ。
だから、やっぱり女タラシの人は私には合わないんだって思った」
勢いでそこまで言ったところで、胸から顔を外されて、びっくりしたような表情の藤木さんに見下ろされる。その目を見ながら
「でも、そんなでも藤木さんと離れたくないって思う自分がイヤだ。
藤木さんが浮気したとしても離れられないんだろうなって思う自分がイヤだ」
不貞腐れたようにそう言い切ると、ゴメン、ゴメンと言う旦那様に再びギューと腕の中に閉じ込められた。
「最低だけど、今すげー嬉しい」
そう言う藤木さんの声は確かに嬉しそうで。ムッとして、ペチリと胸を叩くと、もう一度ゴメン、っていう藤木さん。
「確かに過去のことはどうしようもないんだけどさ。侑里を自分のものにしたいって思ってからは他の女と二人で会ってないし、ちゃんと切ったよ。
侑里が不安になるようなことは、もう絶対したくない。だから、ちょっとづつでいいから、もう一回俺の隣で安心して笑ってられるようになって」