人事部の女神さまの憂いは続く
「ちなみに、藤木さんが思ってるほど不埒な関係じゃないですよ」
「不埒って・・・」
「先生って言っても、予備校の先生です。しかも私、直接授業受けたことないですし」
一応、藤木さんのひどい想像を訂正したくて最低限のところは話しておこうと思った。すると、
「そっか」といって私の頭にポンと手をやると
「手袋の男?」
と聞いてくる。一瞬、なんのことかわかんなかったけど、前に藤木さんに手袋しないのか聞かれたことがあったな、と思い出して
「そうです」とだけ答えた。
藤木さんを見ると何か苦悩しているようで、どうしたんだろうと首をかしげると
「ちなみにさ・・・」
珍しく言葉を選んでいる様子。
「なんですか?」と聞くと
「お前に色々仕込んだのも、あいつ?」
遠慮がちだけど、とんでもない言葉が出てきた。