人事部の女神さまの憂いは続く
「やっぱ、いいです。いろんな女の人と比べられたら、もう怖くて藤木さんとできないです」
すぐにさっきの質問を取り消すと
「いや、そうじゃなくってさ・・・」
何とも歯切れの悪い答えが。もう何も聞きたくない、と思って
「やだ。何も言わないでください。そんなこと言うなら、もう藤木さんとはしたくない」
首を横に振っていると
「お前がすごい良くって、びっくりしたの。どこでこんなこと覚えたんだと思うと腹立ったの」
言いながら私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて、あーカッコ悪いな俺、と独り言を言っている。何かごまかされたような気もするけど、ほんとにやきもちやいただけなのかな、と思うとほっとして、頭にある手を取って、その手に口づけを落とした。
「私が好きなのは、藤木さんだけですよ。自分から、こんなに欲しいって思ったのも、絶対に離したくないって思ったのも」
もう一度大好きな藤木さんの手を握って
「だから藤木さんが別れたいって言っても、絶対に別れてあげませんからね。覚悟してください」
そう言って思いっきりキスをした。その口元で、ふふっと藤木さんが笑ってくれたのがわかって、ほっとして唇を甘噛みすると、深い口づけを返してくれた。
思ったよりも大人げないし、やきもちやきだけど、きっとこの人となら大丈夫。そんな気がした。
<その後①実家での憂い FIN>