人事部の女神さまの憂いは続く
なんでだろうと思っていると
「戸籍謄本とってこい。婚姻届け出す時にいるんだよ」
カウンターに置いてある用紙を渡された。そんなこと知らなかった。さすが何から何まで用意周到だな、と感心していると
「ほら、さっさと書け」と急かしてくる。
必要書類を記入して交付を待っている間に
「藤木さんのは?もうとってあるんですか?」
と聞くと
「もちろん」
なぜか自慢気だ。そして、せっかくだしここのもらっていくか、と言って婚姻届けを取ってきた。
「うわぁ。初めてみました。なんか意外におっきいですね」
初めて手にする婚姻届けに興奮していると
「お前間違いそうだし予備あったほうがいいか」
追加で2枚ほど持ってきていた。用意周到なところはさすが藤木さんだな、と思うものの一連の流れが冷静過ぎて、1人はしゃいでる自分が淋しく感じて
「なんか、すごい事務的ですよね」
文句を言ってみると
「事務手続きじゃん」
と返される。その言い方にムッとしたものの、ちょうど書類が出来て番号を呼ばれたのでカウンターに向かった。